| Translate in English ? | 大島勇吾(理学博士)プロフィール | 投稿論文 |

実験装置

研究に使用している実験装置の紹介です。最先端の測定装置を研究に使用しています。

『電子スピン共鳴装置(ESR)』

 電子スピン共鳴(Electron Spin Resonanceの略でESRと一般的に呼ばれる)は不対電子を検出する分光法の一種です。磁場の影響下にある不対電子のエネルギー準位は、電子スピンSの影響で(2S+1)個の準位に分裂します。この分裂のエネルギー差に相当する光(マイクロ波、ミリ波、サブミリ波など)のエネルギーを照射すると、その光は吸収されスピン励起が起こります。上記のエネルギー分裂(ゼーマン分裂)の大きさは磁場の値をはじめ、物質固有のg値・磁気異方性などに依るため、調べたい物質の電子状態を理解する事ができます。
 一般的には遷移金属イオンもしくは有機化合物中のフリーラジカルの検出に用いられる測定手法ですが、我々は通常より高い周波数、高い磁場で測定を行う事により、市販されてるESR装置では通常観測できない反強磁性共鳴(AFMR)や高分解能の常磁性共鳴(EPR)を分子性導体と呼ばれる物質群に適用してます。


ミリ波・サブミリ波ESR


理研で構築した高周波の電子スピン共鳴装置です。光源からミリ波もしくはサブミリ波を磁場中心にある試料に照射するようライトパイプで導きます。光の強度変化は光検出器で観測します。周波数一定の光が手前の装置から発振されています。中心にある超伝導マグネットで磁場を掃印し、ゼーマン分裂を広げ、準位間のエネルギー差が照射した光のエネルギーと一致すると吸収が起こるため、奥の赤い光検出器が強度の変化を捉えます。市販されてるのは9GHzや20-30GHzの周波数帯ですが、ここでは100GHz以上のミリ波やサブミリ波を使用しております。

米国Virginia Diode(VDI)社製 ミリ波・サブミリ波発振器 英国QMCインスツルメンツ社製 InSbボロメーター
世界最高水準の安定度と強度を誇るミリ波・サブミリ波発振器。位相ロックされた12.5GHz発振を逓倍器を数段組み合わせて行く事によって、100GHz、200GHz、400GHzを発振する装置です。強度の安定度は普通のGunn発振器などに比べ抜群に安定しています。 InSbのホットエレクトロン・ボロメーターです。光を吸収すると移動度が変化するため、素子の抵抗が大きく変化します。この抵抗の変化により、光の強度変化を捉えます。抵抗を大きく変化させるために、素子は液体ヘリウム温度で冷やされています。また、InSbが不均一な磁場でチューンされており、これにより約2THzまで光の強度変化を検出できるようになっています。


Vバンド/WバンドESR

ミリ波領域のベクトルネットワークアナライザーを用いたESR測定装置です。
仏国ABミリメーター社製 ベクトルネットワークアナライザー MVNA-8-350-1-2
高周波のネットワーク解析(ただしS21のみ)が行えるミリ波ベクトルネットワークアナライザー。最高到達周波数は約105GHz。空洞共振器を測定に使用するため、共振スペクトルを得るために使用します。

KバンドESR

上記の光源と検出器を、Kバンド帯のマイクロ波に対応したベクトルネットワークアナライザーに置き換えた測定装置です。
米国Agilent Technologies社製 PNA ベクトルネットワークアナライザー E8363B
高周波のネットワーク解析(4パラメーター)が行えるマイクロ波ベクトルネットワークアナライザー。最高到達周波数は40GHz。空洞共振器を測定に使用するため、共振スペクトルを得るために使用します。

XバンドESR

市販されている日本電子(JEOL)製のXバンドESR装置です。上記と異なり、超伝導マグネットではなく電磁石を用います。周波数は約9GHzを使用。旧式ものですが電磁石がそれなりにいいので、感度も分解能も悪くないです。
日本電子製 XバンドESR装置 JEOL-RE3X
古い代物ですが、それなりに感度も良く使えます。角度依存性、温度依存性も測れるようになっております。Q-Bandもあるけど、現在壊れてます。

このページは現在工事中です。



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