#Detroit/Chicago

Detroit テクノ発祥の地。

もともとファンクに人気があったデトロイトの黒人ゲットーに、テクノの原形といってもいいドイツのKraftwerkの音楽が入り込み、テクノサウンドが生まれた。
そして、その道先案内人ともなったJuan Atkinsが、彼のベッドルームで作ったシングル"No UFO's"を85年にリリースしてデトロイトテクノに火がついた。

一方シカゴでは、アシッドハウス(シカゴハウス)が盛り上がり、87年にはテクノ界のゴッドファーザー、Derrick Mayによる"Nude photo","Strings of Life"(当時クラブではこの曲を聴きながら涙を流していた奴がいたらしい)といったテクノ史に残る名作を残すことになる。しかし残念ながら、デリックは91年以降新作を1曲も発表していない。にもかかわらず、彼は今でも世界中に多くの信奉者を持つ。

話に戻るとするが、今でこそデトロイトのアーティストがもてはやされているが、当初は全く受け入れられなかった。彼等はシカゴでクリエイトしているのにもかかわらず、遠く離れたヨーロッパで先に受け入れられことになる。 当然彼らも当初戸惑いを感じていたという「ぼくらは本当はもっとアメリカで受け入れられたいんだ」と。

しかしなにはともあれ、これからもデトロイトテクノは今後も次から次へと新たな試みを行い、これからも未知のサウンドを作り出してくれることであろう。

その他の影響力のあるアーティストとして、Carl Craig、Kenny Larkin、Jeff Millsがいる。


Derrick May

言わずとしれたテクノのイノベイター、ゴッドファーザー。デトロイトテクノの代表選手。
1963年6月4日デトロイトに生まれる。「ホアン-アトキンスと出会っていなかったら、音楽をやってなかっただろう」と彼自身が断言するほど、ホアンと運命的な出会いをする。 18歳のときからDJを始め、22歳のとき曲を書き始める。87年に"Nude Photo" , "Strings of Life" で一躍ブレイクする(録音自体は "Strings of Life" の方が古いが、その曲が当時の常識からあまりにも逸脱していたのでビビって "Nude Photo" を先にリリースする)。しかし、 91年以降、レコード会社とのイザコザ、彼自信のレーベルTRANSMATの新しいアーティストのディベロップやリリースで忙しいらしく、新作を1曲も発表していない。にもかかわらず世界中に多くの信奉者を持つ。
昨年4月に、日本のみのベスト盤的なニューアルバムが出ている(2枚組)
-Derrick May-Innovator
Disc1
1&2 "Rest"
3 "Strings of the strings of life"
4 "Another kaos beyond kaos"
5 "Free style"
6 "A rest beyond kaos"
7 "The dance"
8 "Spaced out" Love hate mix
9 "It is what it is"
10 "Some more spaced out"
11 "Beyond the dance" Cult mix
12 "Feel surreal ends"
13 "To rest"
14 "R-theme"
Disc2
1 "The begining of the end/of the end of the beginning" Montage sensitive mix
2&3 "Phantom" A relic mix
4 "Kaotic harmony" A one time live recording in Detroit
5 "More phantom"
6 "Salsa life"
7 "Nude photo/The begining"
8 "Another Relic" from the relics
9 "Drama"
10 "Strings of life" MS-4 Version
11 "The begining" Ken Ishii Remix
12 "WIGGIN" Juan Atkins Remix
Musicians:Derrick May(k,syn)Carl Craig(k,syn)Mark James R(k,syn)Juan Atkins(remix)Ken Ishii(remix)
SRCS 7980~1 Sony(Transmat)


Juan Atkins

あまりよく知らないのだが、とりあえずすごい人。モデル500とかいう他の名義も持つ。最近"The Infinity Collection"というCDを出してる。バリバリのデトロイトテクノのテーストが出ていて非常にいい感じである。
-The Infiniti Collection-
1 Impulse
2 Sunlight
3 Flash flood
4 Moon beam
5 Raindrops
6 Game one
7 I-94
8 Harddrive
9 Martians at work
10 Think quick
written&produced by Juan Atkins
Tresor Records 48

-Juan Atkins 関連のホームページ-


Richie Hawtin/Plastikman/FUSE

FUSE,Plastikman,Substance Abuse,Hard brothers,Robotman,Circuit Braker等のいろいろな名義を持つ男。正確には彼のホームグラウンドはカナダのウィンザーに位置していて、デトロイトとウィンザーは川を一本隔てただけなので、Richie Hawtinはデトロイトテクノか?というつっこみには勘弁してもらいたい。(エディー-フォックスなどははっきり「Richie Hawtinはデトロイトテクノじゃない。奴は単なるウィンザーのマネーメーカーにすぎない」といってたらしい。)
80年代後半Derrick Mayらによるデトロイトテクノに触発され自らDJをやるようになりレーベル”+8”を立ち上げるに至る。彼のサウンドを一言で言い表すならFUSE名義で出しているアルバム"Dimension Intrusion"に収められてる曲を見ても解るように”アシッド”の一言で足りる。そのシカゴアシッドのエッセンスをフィーチャーしたそのサウンドは、後にハードフロアーに代表されるニューアシッドの原点ともなった。

-FUSE-
 Dimension intrusion
1 A new day
2 F.U.
3 Siac
4 Dimension intrusion
5 Substance abuse
6 Train trac.1
7 Another time
8 Theychx
9 Uva
10 Mantrax
11 Nitedrive
12 Into the space
13 Logikal nonsense
SRCS 7801 Sony Records

-Plastikman-
彼は現在プラスチックマン名義でアルバムを全部で4枚リリースしている。
まず第1作目は1993年にリリースされた "Sheet one"。このアルバムのジャケットはアシッド・ペーパー(LSD)のシートをパロったものだった為このアルバムを持っていた青年が留置所に入れられるなど音楽以外でも話題になった。その次1994年にリリースした2枚目の "Musik" も白色のジャケットを基調としておりプラスチックマンらしいアシッドサウンドが展開されている。そして次のプラスチックマン名義のアルバムはいつリリースされるのかとファンは新作を待ち望んでいた。それから4年、プラスチックマンの新作 "Consumed" がついにリリースされた。しかしジャケットは真っ黒。ものすごい変貌だった。サウンドも打って変わって、彼の代名詞とも言えるアシッドサウンドは影をひそめ低音で超ダークなサウンドが展開されていた。また彼は彼の代名詞とも言える+8レーベルを停止すると宣言し、新しいコンセプトレーベル:M_NUS(マイナス)をスタートさせる。
一体、"Musik" と "Consumed" の間に何が起こったのか?
彼は白の三部作の完結盤 "Artifakts (bc)" を1998年末にリリースし、こう説明している。

当初プラスチックマンのプロジェクトはアルバム"Sheet one"一枚のみを考えていたが、そのアルバムとシングル"Spastik"の発表後、"Sheet one"にまつわるさまざまなアイデアや関係を考えるうちに、プラスチックマンは徐々に3部作アルバムのかたちになってきた。(中略)。しかし1995年頃、僕は違法演奏によりアメリカから追い出され、物事がメチャクチャになってしまった。これによってすべてが変わった。プラスチックマンはデトロイト地区での僕の体験に同調していたため、(3部作の最後に予定されていた)"Klinik"のレコーディングに戻ってもインスピレーションがわかずに苦しんだ。(中略)。そしてやっとプラスチックマンの最終リリースに向けて作業を再開すると、自分が思っていたものとはまったく違う音楽になり始めた。そしてその代わりに、僕は4枚目のプラスチックマン・アルバム"Consumed"を完成させた。(中略)。"Klinik"は完成しなかったが、このアルバム用にレコーディングした素材は豊富にあり、3部作を終結させて、"Musik"と"Consumed"の架け橋にするためにも、3枚目のアルバムをリリースする必要があると考えた。君たちがここに手にしているアルバム( "Artifakts (bc)" )はかたちは多少違うが、これが3部作を効果的に結論づけるものだと僕は信じている。(以下略)Richie Hawtin 1998

白ジャケット三部作 "Sheet one","Musik","Artifakts (bc)"
超ダーク『黒ジャケ』新シリーズ第一号 "Consumed"をリリース!
"Artifakts (bc)" SME/AICT40 \2520
"Consumed" SME/AICT 5-6 \3500

-CDの感想-

[Plastikman/Consumed]★★★★☆
なんじゃこりゃー!!さすがリッチー・ホウティン。やってくれます。コンポでこのCDを聴いても、イコライザーの高音側は下がりっぱなしの超低音。気分もだんだんブルーに...死にたいと思ってる人、疲れてる人にはかなりおすすめ。

[Plastikman/Artifakts (bc)]★★★★☆
"Artifakts (bc)" はリッチー・ホウティンが Plastikman 名義でリリースした "Sheet one","Musik" から始まった3部作アルバム(白色ジャケット)の最終編です。もともと最終編は "Klinik" というアルバムで最後にするつもりだったらしいんですけど、いざレコーディングを始めるとあまりにも違う音楽が出来てしまったため、先に超ダークな問題作 "Consumed" をリリースすることになる(黒色ジャケット)。そのリリースするはずだった "Klinik" の素材とアイデアを使いそれを新しい領域に導いたものが今回の "Artifakts (bc)" である。
要が簡単にいうとTB303を使ったアシッドテクノ(とはいっても普通とは違う303の音が聴ける)のアルバムである。

[Plus 8 classics/Volume 1]★★★★☆
過去10年間テクノ文化を育ててきた今は亡き(活動中止中)レーベル『Plus8』。デトロイトのテクノアーティストには反感を買い続けてもめげずにデトロイト・テクノ、そしてテクノの進むべき方向を示したレーベルであったことは、この初期の音源を集めたこのコンピレーションを聴けば誰もがそう思うはずである。そしてこのアルバムでは『Plus8』に参加していた今のテクノシーンをリードするアーティストSpeedy J,PlastikmanそしてUTU(ケン・イシイ)等の音源が集録されている。久しぶりにアシッドやデトロイトテクノを部屋で聴きたい人や90年代前半のテクノ史の変遷を知りたい人にはサイコーにお勧めのアルバム。

[Richie Hawtin/Selections 1990-2000]★★★★★
言わずとしれた天才Richieのベストアルバムみたいなもです。デトロイトテクノを語る上で重要な位置を占めているRichie Hawtin。彼のFUSE時代からPlastikman、Richie Hawtinにいたるまでの歴史がこの1枚に納められています。よってテクノを聞き始めるための入門的なCDといってもよいでしょう。但しRichie Hawtin好きでFUSEもPlastikmanのCDを持ってる人は殆ど同じ曲がかぶってるので買わない方がいいと思います。


System 7

ぼくの大好きなテクノユニットSystem7。元ゴングのプログレギタリストSteve Hillageと彼の恋人Miquette Giraudyからなるプログレッシブテクノユニットで、Derrick May, Youth, Carl Craig, Alex Paterson などもサポートして参加している。去年4作目のアルバム"Power of seven"をリリースしている(最高にできがいいので聴くべし!損はしません)。ちなみにアメリカでは 777 という名義になっている(アメリカに System7 というロックバンドがすでにあるらしい)。

-System7- Power of seven

1 Interstate (Hillage,Giraudy,Dinger,Rother)
2 Civilization (Craig,Hillage,Giraudy)
3 Davy Jones' locker (Paterson,Hillage,Giraudy)
4 Big sky city (May,Hillage)
5 Good Morning (Hillage,Giraudy)
6 Night owl (Keogh,Hillage,Giraudy)
7 To the power of seven (Hillage,Giraudy)
8 Hanger 84 (Hillage,Giraudy)
9 Chicago indian (Hillage,Giraudy)
10 Mektoub (Youth,Hillage)
11 Europa (Hillage,Giraudy)

SRCS 8006 Sony Records
10曲目はサイコー!涙がちょちょぎれます。


前作"Point3"のFIREとWATERアルバムも買っても損はしません。

なお、System7のオフィシャルホームページがこちらにあります。


全然デトロイトじゃないけど、同じ『アメリカ』ってことで、ここから他のアメリカ出身のアーティストを紹介します


#West Coast

Meat Beat Manifesto

『ブレイクビーツのゴッドファーザー』『ビッグビートの創始者』『サンプリングの魔術師』『90年代屈指のサウンド・テロリスト』と呼ばれる、ジャック・デンジャーズ率いるMeat Beat Manifesto。サンプリング音源、ブレイクビーツは右に出るもの無し!

-CDの感想-

[Meat beat manifesto/Original fire]★★★★☆
オリジネーター、イノベーターであり続ける、MeatBeatManifesto。彼らの初期のレアトラックを集めたものです。プロディジー、ケミカル等のビッグビートが好きな人にはオススメ。もうすぐ来日するからなのか、大阪のタワーレコードで特集してたので思わず買いました。今後も他のアルバムも買っていく予定。

[Meat beat manifesto/99%]★★★★☆
90年にリリースされたミートビートの初期の傑作と言われる99%。革新的なビートはそのままという感じですが、初期の作品であるためなのか、よりヒップホップの影響を受けているような感のある作品です。

[Meat beat manifesto/Subliminal sandwich]★★★★★
このアルバムには本当に驚きました。ジャック・デンジャーズ率いるミートビートマニフェストがサンプリングソースを求めて拠点をUKから音源の宝庫・サンフランシスコに移し、幸福な音源との蜜月生活が実った壮大な実験作と言われているこのアルバム。ミートビートマニフェストを聴き始めてから3ヶ月。こんなアルバムが96年の時点ですでに存在してたなんて信じられません。音の深さ豊かさ、脳天を突き刺すような圧倒的なブレイクビーツ、文句のつけようがないこのアルバム。久々の5つ星です。

[Meat beat manifesto/Actual sounds + voices]★★★★☆
プロディジー、ケミカル・ブラザーズ、ナインインチネールズ等のリスペクトを一身に受けるらしい、ブレイクビーツのオリジネーター(他に『ブレイクビーツのゴッドファーザー』『ビッグビートの創始者』『サンプリングの魔術師』『90年代屈指のサウンド・テロリスト』の称号があるらしい)ジャック・デンジャーズ率いるMeat Beat Manifestoの最新作(6枚目)です。噂には聞いてましたが、今回はじめて買って気に入りました。本当に色々アリの(ジャズっぽいものからヒップホップ、ドラムンベースっぽいものまで)ブレイクビーツアルバムになってます。他のが欲しくなりました。



#Miami

Schematic Records

New Electronica系

最近威勢の良いニューエレクトロニカ系のレコードレーベルSchematic。第2のRichardと思わせる天才、奇才ぶりを発揮しているRichard DevineやPush Button Objectsは今後注目のアーティスト

-CDの感想-

[V.A./House of distraction]★★★★☆
最近、はまっているSchematicレーベルの最新作です。奇才Richard Devineは当然の事ながら、Push Button Objects、Delarosa&Asora(スコット・ヘレン)等が参加しているSchematicレーベル・オールキャストのコンピです。基本はニューエレクトロで、実験的でエフェクトかけまくりのアイデア満載の曲でいっぱいです。なかでもBPMを変化させまくってる『09』の"Key Angler"という曲は聞いてて気持ち良い。

[V.A./Lily of the valley]★★★★☆
これもSchematicレーベルもののコンピでIschemic folksと同じ1999年にリリースされもの。参加メンバーはRichard Devine, Phoenica, Delarosa&Asora等のオールスターキャストだ。残念ながらIschemic folksより早くリリースされたのか、PushButton..は参加してません。他のコンピものと同様に質の高いニューエレクトロニカだらけ。Schematic好きなら買うべし。

[V.A./Ischemic folks]★★★★☆
Autechre等でここ数年盛り上がりを見せつつあるニューエレクトロニカ。そのニューエレクトロニカを専門とするSchematicレーベルのコンピです。レーベルのオーナーでもあるPhoenecia、代表選手である天才Richard Devine、Push Button Objects等のナイスでクールな曲で満載です。Autechre,AphexTwin好きなら絶対に買いのコンピです。このレーベル今後も要注目!

[Richard Devine/Lipswitch]★★★★☆
同じSchematicもので、Richard Jamesの再来とも言われるもう1人のRichard、Richard Devineのミニアルバムです。中身はAutechre+AphexTwinを2で割ったようなニューエレクトロニカもので満載。フルアルバム出してくれぇ!ほんなら絶対に買う。

[Prefuse73/Vocal studies+uprock narratives]★★★★☆
本名スコット・ヘレン、別名義Delarosa&Asora,Savas&SavarasでSchematicから色々リリースしてるが、今作はWarpレーベルからリリースしたニュープロジェクト。ヒップホップとエレクトロニカのごちゃ混ぜで、アルバムのタイトルからもわかるように、細切れさせた声、歌がそこらじゅうにちりばめられている。ビートの強い実験的な曲で満載です。おすすめ。


prev